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ICC FUKUOKA 2024 Digital Transformation(DX) CATAPULTに登壇した、AGRIST 秦 裕貴さんのプレゼンテーション動画【自社農場でDX実装、展開! 「栽培管理Copilot」で、“AI農業”を推進する「AGRIST」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターは Saleshub です。
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【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 2A
Digital Transformation(DX) CATAPULT
Sponsored by Saleshub
秦 裕貴
AGRIST
代表取締役CTO
HP | X(旧Twitter)① | X(旧Twitter)②
1993年、福岡県福津市生まれ。モノづくりが好きで北九州高専に進学。2016年、高専専攻科卒業と同時に就農を志すも収益の不透明さから断念。高専内で活動していた学発ベンチャー企業合同会社Next Technologyに参画。特殊用途3Dプリンタや産業用ロボットの開発に従事、同社代表を務める。 2019年に宮崎県新富町・こゆ財団との出会いをきっかけにAGRIST株式会社を創業、CTOに就任し宮崎へ移住、2022年からは同社の代表取締役に就任。 自動収穫ロボットを中心に、農業現場に根ざしたテクノロジー活用によって農業の生産性向上と持続可能な農業の実現を目指している。 ロボット大賞2022農林水産大臣省受賞、CES2023 INNOVATION AWARD受賞 等
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秦 裕貴さん 皆さん、こんにちは。AGRISTの秦です。
私は昨年のICCサミット FUKUOKA 2023でカタパルト・グランプリに登壇し、まさにこの場で、収穫ロボットを活用した新しい農業の形をご紹介させていただきました。
▶ピーマンに特化した自動収穫ロボットで、持続可能な農業を目指す「AGRIST」(ICC FUKUOKA 2023)
そこから事業が進んできて、今日はAGRISTが今推進している農業DXについて、ご紹介したいと思います。
我々の農業DXの一番のポイントは、きつくて儲からなさそうな農業のイメージを変革することにあると思っています。
収穫ロボット開発と農業生産を行うスタートアップ
我々の開発する収穫ロボット(ピーマン自動収穫ロボット「L」)は技術が確立してきて、現在自社の農場と、一部協力いただいている生産者の農場で実際に稼働しています。
▶ピーマン自動収穫ロボット 世界最大級の家電・IT展示イベント「CES2023」でイノベーションアワードを受賞(PR TIMES)
さらに同じコア技術を展開してキュウリの収穫ロボットも実現させ、すでに農業生産法人への導入実績がある状況です。
▶AGRIST、タカミヤ農場できゅうり自動収穫ロボット導入を開始(PR TIMES)
我々は収穫ロボットの開発をするだけでなく、自社で農業生産を行っている農家でもあります。
ロボット開発だけでなく、自社農場も拡大してきており、現在宮崎と鹿児島に約1haほどある自社農場で栽培を行っています。
1haと言いますと、一般的なピーマン農家のだいたい3倍くらいの面積の栽培で、かなり大規模で本格的な農業も行っています。
この自社農場の栽培環境や売上、作業記録などのデータを日々収集し、可視化してきました。
可視化した情報をもとに農場をコントロールした結果、我々は今農業を始めて2年目、かつ農業の素人からスタートしたのですが、宮崎県の標準収穫量の約1.5倍の収穫量という結果が出始めています。
これは、まだまだ伸びしろがある数字、結果です。
ご覧いただいたのは昨年(2023年)のデータで、今作は約22トンを目標に順調に栽培をしているところです。
「AI農業」を推進する栽培管理ソフトウェアを開発
ただ、この結果を支えているデータによる農業はこれまで、データを可視化し、それを農場管理者が自分で見て解釈、判断をして、試行錯誤的に農場をコントロールしてきました。
この解釈と判断の部分にまだまだ農家としての高い技能が必要であるため、データ化して可視化するだけでは農業が再現可能にまだまだならないという課題に直面しました。
そこで、これからAGRISTでは「AI農業」を推進していきたいと考えています。
これは、まだまだ伸びしろがある数字、結果です。
ご覧いただいたのは昨年(2023年)のデータで、今作は約22トンを目標に順調に栽培をしているところです。
「AI農業」を推進する栽培管理ソフトウェアを開発
ただ、この結果を支えているデータによる農業はこれまで、データを可視化し、それを農場管理者が自分で見て解釈、判断をして、試行錯誤的に農場をコントロールしてきました。
この解釈と判断の部分にまだまだ農家としての高い技能が必要であるため、データ化して可視化するだけでは農業が再現可能にまだまだならないという課題に直面しました。
そこで、これからAGRISTでは「AI農業」を推進していきたいと考えています。
ロボットや農場に取り付けたセンサーからデータを集めて、そのデータをAIが解析して栽培管理者を支援・サポートするソフトウェアプラットフォームを構築していきます。
これにより、勘と経験頼みの不確実性が高い農業を変革していきたいと考えています。
このAI農業プラットフォームの機能の一つが、スマートフォンもしくはタブレットから農場やロボットを制御したり、作業の記録を行ったりする栽培管理ソフトウェアです。
開発の重要な思想は、ワンクリック、ワンタップでこれを実現するというものです。
似たようなシステムは農業界にすでにありますが、既存のシステムでは農場内の各機器・装置毎に個別にログインして設定しています。
それを、よりシンプルな操作で直感的にコントロールできるようにしていきます。
AIが農作業を提案し管理者の意思決定を学習
そして、AIプラットフォームの中で最も強力な機能が、AIによって栽培の方針を提案する「栽培管理Copilot」機能です。
ロボットやセンサーから収集したデータと周辺の天候や過去の栽培データをもとに、AIが管理者に対して次の農作業の提案をします。
その提案を受けて、管理者が次の農場の管理の意思決定を行っていく仕組みを作っていきます。
初期の段階では、当然このAIが熟練の農家ほどの提案をできるとは考えていません。
最初はあくまでも栽培管理者の補助として、間違ったことも提案してくると思います。
ただ管理者がこれに従ったかどうか、拒否したかどうか、これもデータ化して蓄積しAIの学習ループに加えます。
そうしてこのループを回し続けることで、農家、生産者が持っている経験と勘も、このAIにインプットしていくことを考えています。
収穫ロボットが精緻なデータを収集
なぜAGRISTが、このAI農業を実現できるのか?
2つポイントがあります。
1つ目は、AGRISTが収穫ロボット技術を保有しているからです。
ロボットは収穫するだけではなく、言わば移動するセンサーの塊です。
農場の中を収獲しながら常に移動しているので、これまでよりも精緻に細かくデータを取ることができます。
さらに作物の背丈や花が咲いている位置など、これまでセンサーで直接測ることができなかったデータも数字化、可視化していきます。
これらを使って例えば収穫量を予測したり、作れるだけ作って出荷するこれまでの農業から、市場の状況などに基づいて環境をコントロールして行う、より戦略的な意思決定ができる農業へと変革していきます。
自社農場で早期に現場実装
もう1つのポイントは、AGRISTが自社で農業に愚直に取り組んでいることです。
データやロボットのソリューションがあっても、オペレーションにうまく組み込めるかどうか、これがアグリテックの最難関ポイントだと考えています。
一方で、スケールしにくい農業に参入するという参入障壁は、一定高いと考えています。
ここをAGRISTは、地方発のスタートアップとして、逆張りで攻めていこうと考えています。
2028年に売上100億円を目指す
AI農業で再現性・収益性が向上した農業を、まず自社農場として全国に展開していきます。
直近3年で10haほど、売上10億円を目指していきます。
さらに自社農場の拡大とあわせて企業への農業参入のパッケージの提供や、農業AI SaaSの販売を行っていき、2028年には売上100億円を目指していきます。
楽しくて儲かる農業の実現を!
農業の収益性と再現性を高めることも重要ですが、農業DXの肝はやはり経験と勘頼みで不確実、きつくて儲からないという農業のイメージを変えることにあると考えています。
農業のイメージが変わることで、農業を取り巻くヒト・モノ・カネの流れを変えていきたいと考えています。
農業を持続可能にするには、これまで農業に流れてこなかったリスクマネーや皆さんの力が必要です。
応援をよろしくお願いいたします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成